圧力鍋のサイズによる扱いやすさの違いや、どこが壊れやすいかと言った内容です。
爆発すんじゃねーか? とか、ちょっぴりスリルもある、科学と魅惑の調理器具。それが圧力鍋。
パール金属の 3.5L (H-5040) を約3年使っています。使用頻度は週に一回。
週1でなんか作って(そればっか)食ってるお料理弱者が語ります。
圧力鍋って便利なのか?
便利です。なんたって圧力調理ができますから。
3年前に「豚の角煮とか作ったら旨いだろうな…」なんて、
突然思いついて圧力鍋を買いました。
具材を全部ぶち込んで、蓋を閉めたら最後、
あとはゴールまで突っ走るタイプの調理器具です。
蓋を閉めた後はもう手出しができないのだから、
プロと素人で基本差が出ない。
お料理弱者のわたしにとっては、大変ありがたい鍋です。
また、調理器具として不自由なところが多々あるものの、
「高圧調理ができる」という一点突破でキッチン戦争を生き残ってきた凄い鍋でもあります。
日本においての圧力鍋の歴史は、玄米を柔らかく炊くために
戦前から圧力「釜」として使われていたそうですよ。
出典:Wikipedia 圧力鍋
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A7%E5%8A%9B%E9%8D%8B
その姿は厳つく、もっともらしく、クソ重くて、ぎんぎら銀に輝いていて、
それが妙に魅力的でした。
というわけで、ついアマゾンでポチってしまった。
- サイズの選び方
- 最初に壊れるところ
- 圧力鍋ウンチク
そこらにあった野菜やら卵やらまでいっしょにブチ込みました。
茹で卵がちょっと壊れてしまいましたが、なかなか旨かったですよ。
角煮はトロトロでした。
これが40分ほどで出来るんだから圧力鍋は捨てがたい。
今も、一週間分の作り置きタンパク質惣菜作りに活躍中です。
デメリットとは
デメリットというか、使っていてやっかいだと思ったところです。
- 時短になっているのか微妙
加熱調理の時間の他に、圧力が目標値まで上がる時間と、
蓋が開けられるまで冷却する時間が必要になる。
これ全部足して初めて調理完了になるので、時短になっていないことも多い。
トロトロ角煮や、魚の骨まで柔らかくなるってとこまでやるなら時短だけど、微妙… - 重い
比較的バカジカラに恵まれたオジサンなのに、3.5L 品ですら重く感じる。
片手鍋だからね、細くてか弱い女子(もし存在するなら)だったらキツイかもね。 - 普通の鍋に比べて構造が複雑なので、洗うのが面倒。
鍋の癖にスプリングとか入ってるんだぜ! - いったん火にかけたら最後まで行くしかない。
具材を入れるタイミング調整とか、アクとりとか、味見とかできない。
(でもそんなんしたくないヤツには関係ない。オレとか) - 意外と調理容量が小さい。
満水容量の 2/3 くらいまでしか入れられない。
●蛇足
なんか、炊飯器でもいいんじゃね? って気にもなりますね。
圧力炊飯器って圧力はどのくらいなんだろ?
調べてみたら 1.25気圧って書いてあるものがあったから 126.7kPaだな。
つまり圧力炊飯器の沸点は 110℃くらいまで上がるわけだ。
この 110℃は、圧力釜の圧力切り替えレバーの「1:低圧」に相当するから、
野菜や魚などの煮崩れしやすい食材は加圧調理できそうですね。
でも、圧力釜の炊飯モードは米を炊くことに特化した圧力コントロールをするので、
「煮込みモード」などの機能がついている機種じゃないとダメかもしれません。
メリットとは
「ボロクソ言っておいて、それじゃぁお前さんはなんで使っているのさ?」
そうですよね。それは以下の理由です。
- 料理弱者だから、具材を全部ぶち込んで火にかければOKという調理方法が魅力的
- 調理器具としておもしろい
「オモシロイってのは大事なことだぜロック」ってダッジも言ってる。 - なんたって食材が柔らかくなる
科学的に、通常調理の3倍柔らかくなることがわかっている。 - 火を使っている時間が短くて済む
つまりガス代を節約できる。 - プリンとか茶碗蒸しに、「す」「気泡」が入らない
こんなところです。
わたしは毎週末に鶏むね肉を4枚買ってきて、
3.5L の圧力鍋で煮て基本タンパク源にしています。
ええ、貧乏ですから。
しょせんは鶏むね肉なのでパサパサではありますが、
箸でほぐれるくらいに柔らかくなるので、
ほぐしてカレーにしたりハッシュドチキンにしたりして食っています。
まぁまぁ旨いですよ。(´・ω・)
サイズはどれが良いのか?
圧力鍋を買うとなると、気になるのがサイズです。
調理できる容量と、重さとの兼ね合いが問題ですね。
H-5039 | H-5040 | H-5041 | H-5042 | |
満水容量 | 2.5L | 3.5L | 4.5L | 5.5L |
本体重量 | 1.8Kg | 2Kg | 2.3Kg | 2.7Kg |
サイズ(全長×幅×高さ) | 380×210×165mm | 380×210×200mm | 400×230×210mm | 425×250×210mm |
そんな答えは期待していないですよね。
3.5L の圧力鍋で調理できるのは、中くらいのタッパーに5食ぶんくらいです。
目安として、こんなのが5個ね。
このタッパーは 480mL 品で、これ5個分の調理ができます。
デカイのは重い
なんたって分厚いステンレス製だから、アルマイトのペラペラ鍋とは次元が違います。
乗用車と装甲車以上の差があります。
つまり重い。
ただでさえ重いのに、デカイと絶望的に重い。
重いと、洗う時なんかも扱いにくいんだよねぇ。
それに中身が入っていると、デカイ圧力鍋ではシャレにならんくらい重い。
ちなみに、先のメーカー公称のデータには「満水容量」が書いてあるけど、
この量の調理はできない。
鍋の内側に線が書き込まれていて、この線を超える量を調理することは禁止されています。
食材を入れ過ぎると、圧力調整弁を詰まらせてしまったりするので危険なのです。
↓この線のことね。(この画像は鍋の内壁です)
ズームアウト
上の線が「最大調理量」で、下は「豆類最大量」と書かれています。
見た目で高さを3分割した感じで書かれていますから、
最大調理量は「満水容量×2/3」ほどになっているようです。
実際に調理できる量と、総重量
最大調理量まで水を入れたら何リットルになるのかが、カタログに書いていなかった。
そこで自分で調べてみました。
H-5040 (3.5L) については所有しているので、実際に水を入れて計測しました。
それ以外はわからないので、満水容量と最大調理量の比が全部同じだと仮定して算出しました。
なお最大総重量とは、最大調理量+本体重量のことです。
以下は、調理可能な最大量の水を入れたときの総重量の推測値の表です。
H-5039 | H-5040 | H-5041 | H-5042 | |
満水容量(公称値) | 2.5L | 3.5L | 4.5L | 5.5L |
最大調理量(推測値) | 1.6L | 2.3L | 3.0L | 3.6L |
最大総重量(推測値) | 3.4Kg | 4.3Kg | 5.3Kg | 6.3Kg |
最大調理時の総重量をグラフにしてみました。
思ったよりも直線的に並ぶんですね。
やっぱり選ぶなら、筆頭は 3.5L 品、二番手が 2.5L品だろうな。
5.5L品 6.3Kg の片手鍋なんてゴリラ用だよ。
1~3食分を作るなら H-5039 (2.5L)。
3~5食分を作るなら H-5040 (3.5L)。
一般人ならそんな感じだね。
って感じだろうか?
デカい鍋は、温度の上昇も下降も時間がかかる
ここに「二乗三乗問題」が効いてくる。
長さの2乗が面積で、3乗が体積ってヤツです。
- 規定圧力に達するまでに時間がかかる。
- 蓋が開けられるまで冷めるのに時間がかかる。
3.5L 品だけは所有しているので、
夏場はだいたいどちらも10分ってところだってことがわかっている。
わかりやすいから 3.5L品の加減圧時間は、ともに10分。
合計20分ということにして計算します。
重量比で推測できるはずだ。(放熱は無視ね)
表面積は重量の「2/3乗」でいいだろう。
H-5040(3.5L) : 20分 0秒 + 加圧調理時間
H-5041(4.5L) : 23分 44秒 + 加圧調理時間
H-5042(5.5L) : 27分 20秒 + 加圧調理時間
となる。
ざっくり4分間隔くらいになってるにゃ…
あれ? なんか思ったよりも時間的な差が大きくないな。
「ほーーらこんなに差があるですよ!」と言いたかったんだけど…
まぁ感じ方は人それぞれだからね。
購入の際には、
「デカイ圧力鍋だと、調理時間も長くなる」
ということを知っておいて下い。
豆知識
圧力調理で、肉や、骨までもが柔らかくなる仕組み
コラーゲンが熱によってゼラチン化することで肉はやわらかくなる
出典:公益財団法人 日本食肉消費総合センター
http://www.jmi.or.jp/recipe/cooking/niru_main6.html
出典の出典:「肉の科学」朝倉書店 沖谷明紘 編
ブチ切れたコラーゲン繊維は丸まって、
水に溶けやすいゼラチンになることで起こります。
120℃を超えたグラフの外側 (130℃くらい?)あたりで飽和する感じです。
120℃のときの軟化率は 38。←これは圧力鍋の「2:高圧」の温度ですぞ。
つまり圧力鍋を使うと、
通常調理の3倍くらい柔らかくなるってことです!
骨まで柔らかくなる理由
骨は極端に脆くなってしまいます。
そのおかげで魚の骨まで食べられるようになるんですね。
圧力鍋の圧力と温度の関係
これが圧力鍋の中の圧力です
高圧 | 低圧 | |
圧力鍋の作動圧力 (ゲージ圧) |
100kPa | 60kPa |
※このグラフは絶対圧で記されています。
高圧 | 低圧 | |
圧力鍋の温度 | 120℃ | 113℃ |
圧力値の、絶対圧とゲージ圧
先の「高圧 100kPa 低圧 60kPa」はゲージ圧ですね。
統一できんもんじゃろか?
アクリルアミドは生成されないのか?
遺伝子を傷つけるので、発がん性があることがわかっているアクリルアミドは、120℃以上の高温調理することで発生するとされています。
圧力鍋の高圧側は 120℃でした。
気になりますねぇ…
農林水産省の研究では、
「圧力鍋を使った調理で、アクリルアミドはほとんどできない」
そうです。
信じるか信じないかは、アナタしだいです…
答)
圧力鍋を使った調理では、温度が120℃以上になる場合があります。
そこで農林水産省は、一般的な加圧調理によってアクリルアミドがどの程度できるか研究しました。
その結果、通常の圧力鍋の調理条件で加圧調理したお米や野菜では、
アクリルアミドがほとんどできないことがわかりました。
アクリルアミドを減らすために、加圧調理を避ける必要はありません。
出典:農林水産省 よくある質問
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_syosai/teigen/qa.html#q2-2
低圧(60kPa) の方を使います。それなら温度は 113℃までしか上がらない。
圧力切り替えレバーは、
「低圧側 60kPa」で使っておいた方が無難かもしれませんね。
最初に壊れたところ
圧力切り替えレバーの中の部品
先っちょがモゲています。
異常だと思ったのですぐに火を止めず(止めんのかい!)、
そのまま圧力調理を続けました。(;^ω^)
圧力が抜ける方向の異常だってことがわかったからだけどね。
パッキンが頼りなくなってきた
下の写真の、灰色の輪っかがそれです。
3年使った今となってはユルユルです。
交換はもう少し先でも良いと思っています。
さすがに本家の通販サイトでは、交換部品の品ぞろえが良いですね。
意外にもプリンとか茶碗蒸しが得意らしい
科学ですねぇ。(感心)
「高圧1分 / 低圧2分→蒸らし10分」で完成か。
おれ作ったことないけどね。(;^ω^)
茶碗蒸しを圧力鍋で作る方法を紹介!短時間で簡単に仕上がる!
まとめ
- 満水量 3.5L が無難。(個人の見解です)
- 満水量の調理はできない。(3.5L品なら 2.3Lが最大調理容量)
- 重いです。
- 大きい鍋は、調理時間が長くなります。
- 圧力調理という一芸に秀でる。
- アクリルアミド問題は、まぁ大丈夫なんじゃないかな。
- 3年くらいで消耗品が壊れはじめる。
- 意外にもプリンとか茶碗蒸しが得意。
わたしとしては一家に1台はあった方が良いと思います。
本体は頑丈なので、めったなことでは壊れないと思いますが、
もし壊れたなら再度購入するつもりです。
もっとも、ほとんどの部品はメーカーの通販サイトで入手できるので、
本体が変形したりしない限りは部品交換で解決できると思う。
でもあの頑丈な本体は、まんず変形したりしないだろうね。